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ぐるりのいずみ

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国際子ども図書館

上野公園の奥、東京国立博物館と黒田記念館の間の道と進むと『国際子ども図書館』があります。
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2000年に設立された、国立の児童書専門図書館です。

前々からずっと行きたいと思っていて、何度か足を運んでいたのですが、
行ってみると休館だったりして、振られ続けていました。
ま、単にに休館日をチェックしてなかっただけなんですが。
先週やっと館内に入ることができました。

建物は1906年に創建された帝国図書館の建物を再生したもの。
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この建物が、実に雰囲気があって素敵なんです。
もともと東京都選定歴史的建造物に指定されている、明治期洋風建築。
その上に、『国際子ども図書館』として利用されるにあたって、安藤忠雄の設計で改修が
行われました。
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旧観を残しつつも、免震構造の施工、ガラス張りのエントランスやラウンジの増築によって、
機能性、デザイン性、安全性のいずれも高い建物になっています。
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これは、館内にあった建物の模型。

内観も見応えのあるディティールがたくさん。
特に好きになったのは、階段部分。
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手すりの意匠に心躍ります。
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こういう階段を見ると、どうしても上から下を覗きたくなる。
あんまり見てるとちょっと怖くなったり。
上を見上げれば、シャンデリアと天井の彫刻に心奪われます。
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そして、意外な美しさを見せるのが、階段の下側。
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木肌の深い茶色となめらかな曲線。
館内を見ているだけでも、十分に楽しめます。

ですが、この日の本命は別にちゃんとあるのです。
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3階にある本のミュージアムで開催されている『日本発☆子どもの本、海を渡る』です。
タイトルの通り、海外で翻訳された日本の子どもの本の展示をメインにして、
日本の児童書の国際的な広がりについて紹介した展示です。

年代や国、ジャンル別に、日本語の原初と海外出版された翻訳版を並べて展示してあります。
複数の国で翻訳されている本を見ると、国によって表紙の絵が変えてあったり、
主人公の名前がその国になじみの名前になっていたりして、興味深い。
「ぐり」と「ぐら」が「Tip」と「Tap」になっていたり。
「龍の子太郎」の絵が妙に中国チックになっていたり。

なじみのある本がたくさんあって、この本たちが、日本から出て、海外の子どもたちにも
読まれているのかと思うと、うれしくなって顔がほころびます。

面白かったのは、外国の民話をもとに作った日本の絵本が、別の国で翻訳されていること。
たとえば、モンゴル民話の「スーホの白い馬」はイギリスとパキスタンで翻訳されていますし、
ロシア民話の「大きなかぶ」はスリランカで翻訳されています。
すぐれた絵本は、どのように国境を越えても受け入れられるということでしょうか。

日本の絵本の豊かさを思い、それが世界に広がっていくことに誇らしさを感じました。

1階に降りると「子どものへや」があります。
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ここは、国内外の子どものの本が並び、自由に利用できる図書室。
それほど大きい部屋ではありませんが、絵本好きにはたまらない場所。
大人も子どもも、みな夢中で本を読んでいます。

何度も読んですっかりになじみになった本、小さい頃に読んだ懐かしい本、
手に入れたいと思っていた本、まだ見ず知らずの本。
目移りして、何を手にとってよいやら。
下手に手を出すと止まらなくなりそうだったので、安野光雄さんの「森のえほん」を読んで、
外に出ました。
ここは、じっくり時間をかけてくるべき場所ですね。
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ちなみに、「図書館」ではありますが、一般への貸出は行っていません。
図書館や学校への貸出のみ行っているとか。
by simo_kuri | 2010-05-26 02:37 | 見る