ぐるりのいずみ

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コクーン歌舞伎 盟三五大切 @シアターコクーン

見終わってからも、ざわざわと血が騒ぐ。

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コクーン歌舞伎『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』は、熱を帯びて胸に迫る芝居でした。

中村勘三郎と串田和美がタッグを組んでシアターコクーンで歌舞伎興行を打ち、話題となってきた
コクーン歌舞伎。
17年目、12回目の今回は、病気療養中の勘三郎が出演せず、若手の役者が中心となっての公演です。

『盟三五大切』は、コクーン歌舞伎では13年ぶりの再演。
前回、勘三郎と役替わりで源五兵衛と三五郎を演じた中村橋之助が、源五兵衛を、
勘三郎の長男、勘太郎が初役で三五郎を、
コクーン歌舞伎初参加の菊之助が、小万を演じています。

と、知ったかぶりで書きましたが、私、コクーン歌舞伎を見るのは初めて。
ずいぶんと前からコクーン歌舞伎のことは知っていたし、見てみたいとは思っていたけれど、
歌舞伎に慣れていなかったことと、チケットが取りにくいことで、敷居が高かったのです。

今回は、主軸の勘三郎さんが出ないということで、例年に比べてチケットの売れ行きは
芳しくないようで、1階の平場席があるのを見つけて足を運びました。

見てみると、こいつぁ、面白い!!

まず、平場席を選んだのが正解。
一階席の前部分を取り外して、座布団席にしたのが平場席。
座布団だけなので、ずっと見ているとおしりは痛くなるし、身動きとりにくかったりしますが、
役者さんが近くを通るので、楽しい!
昔の芝居小屋のような雰囲気。
それから、コクーン歌舞伎に限っては、客先内での飲食が許されているのも嬉しいところ。
歌舞伎の興行では、客先でご飯が食べれるのって普通のことだけど、普通の劇場では、
飲食禁止のところが多いからねー。

さて、お話の内容はというと、
船頭の笹野屋三五郎は、女房で芸者の小万を使って、浪人者の薩摩源五兵衛をだまして、
大枚百両をまきあげます。
三五郎と小万にだまされたことを知った源五兵衛は、復讐の鬼を化して、次々と人を斬り殺していく・・
というもの。

あらすじだけだと、身も蓋もない話だなぁ。
でも、実際には、人の愚かしさや怖さ、哀しさ、健気さがじわじわと感じられる話です。

串田さんの、従来の歌舞伎にはない演出の見事さもさることながら、主役の3人がほんとに
いいんです!

橋之助の源五兵衛は、人が好くてちょっと頼りない旦那が、一歩踏み外して人殺しに変わって
しまった時の狂気と哀しみがひしひしと伝わってきます。
闇討ちをしかけるために、三五郎たちが寝静まるのを家の裏で一人静かに待っている姿が、
月明かりに照らされて浮かび上がってきた時には、背筋がすぅっと寒くなるような・・
効果音もなく、無言でこともなげに人を斬っていく五人斬りの場面は、壮絶ですが、
緊迫感があり美しい。
恨みと断ち切れない小万への思いを抱えて、泣き笑いの顔で小万と赤子を斬るシーンは悲痛。
極悪にも非情にもなりきれず、虚しく一人歩いていくラストシーンは秀逸です。

小万の菊之助は、匂い立つような美しさ。
芸者で人妻っていうだけで色っぽい設定ですが、実際、三五郎と二人のシーンは、
艶やかで、ほぅとため息をついてしまうほど。
三五郎と源五兵衛の二人が惚れこんでsまうのも納得。
単に見た目にきれいというだけではなくて、芸者をするのも源五兵衛を騙すのも、
ひたすらに三五郎のため、という一途で健気なところもあって、かわいらしい。
後半では、子どもを守ろうとする「母親」の顔を見せる所もありますが、それよりは、
三五郎大事の「女」としての表現の方が強かったように思います。

三五郎の勘太郎は、正直こんなにいい役者だと知らなくて、嬉しい驚きでした。
女房に芸者をさせて、お金を稼がせる小ずるい男だけど、自分の気持ちに正直で憎めない。
勘三郎ゆずりの軽さと愛敬に、勘太郎自身の真面目な人柄が加わって、いい男ぶりです。
方法は間違っていたとしても、主のためにと一生懸命になる姿は、実がこもっていい。
最後には、主を騙していたことがわかり、義兄も手にかけてしまったことで、自ら腹を切って
死んでしまいます。
死に際に、斬られて首だけになった小万を胸に抱えて、話しかけるシーンでは、胸をつかれます。

コクーン歌舞伎、勢いでチケットを取ったけれど、見に来てよかったと心底思いました。
今年の冬から来年の春にかけては、平成中村座の公演もあるというし、これは絶対に見に行かなくては。
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by simo_kuri | 2011-06-23 00:06 | 見る

スペイン旅行 ~バルセロナ ガウディいろいろ~

今回のスペイン旅行では、ガウディの作品をできるだけ見てやろうと思っていたので、
ガウディの話はまだ続きます。

サグラダ・ファミリアの次に行きたいと思っていた所。
『コロニアル・グエル教会』。

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スペイン広場からカタルーニャ鉄道に乗って30分ほどのバルセロナの郊外にある教会です。
ガウディは、この教会を作るために、10年もの歳月を費やして「逆さ吊り実験」を行いましたが、
工事は10年を待たず中断され、今も未完成のままです。

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現在では、中断までに完成していた半地下の講堂が、礼拝堂として使われています。
未完成ではあっても、ガウディの最高傑作と推す人もいる、美しい教会です。

電車に乗っていると、景色がどんどんのどかになっていく。

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降りたのは、その名も「コロニアル・グエル駅」。
世界遺産のある駅だっていうのに、私と一緒の電車で降りたのは、わずかに1組。
そして、無人駅。
ほんとうに、静かで穏やかな所です。

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駅から教会では、歩いて15分ほど。
青いペンキで教会の受付まで足あとの道案内。

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コロニアル・グエルというのは、ガウディのパトロンだったエウセビオ・グエルが
繊維工業住宅地区として建設した所。
古い街並みと緑に囲まれて、散策しても面白いところです。

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街の中のインフォメーションセンターで入場料を払って、いざ教会へ。
特に受付とかないから、「いいのかなー?」と思いながらもそのまま入ろうとしたら、
近くの椅子で休んでいるようにしか見えなかったお姉さんが急に寄って来て、「チケットを見せて」と言う。
ちなみに、下の写真のお姉さんね。入場してからこっそり撮ってみた。
携帯に夢中っぽいのに、よく気がついたものだ。

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あー、一応チェックするのねーと思うも、パンフレットはもらったけど、チケットらしきものをもらった覚えのない私。
困っていたら、「レシート見せて」と言われる。
どうやら、レシートがチケット代わりになっているらしい。
んー、わかりづらいよ!

そうそう、チケットと言えば、スペインでは多くの場合半券を切り取ったりしません。
適当にぴりっとチケットにやぶれ目を入れるだけ。
まぁ、ゴミも出ないし、スタンプとかの道具も要らないし、やぶれ目だけでも用は足りるから
合理的と言えば合理的。
でも何となく、テキトー。お国柄だろうか?

さて、教会の中です。

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半地下ということもあってか、石造りの礼拝堂は、ひっそりひんやり。
外は、これでもかっ!と言う位に、お日様サンサンなのに。

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ここでも、ステンドグラスの美しさは際立っている。

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採光性と通気性を考えた窓。
四方のパーツが対角線を軸にしてそれぞれ回転するようになっているのです。
まるで蝶の羽のよう。

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完成していたら、この教会も素晴らしいものになっていただろうに。

ガウディ作品で、忘れてならないのが、バルセロナの北部に位置するグエル公園。

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ガウディのパトロンだったグエル氏の名を冠したこの公園は、ガウディとグエルが
分譲住宅地として開発しようとした所です。
実際に住宅も建てられたのですが、買い手がつかず、計画を断念。
今は市の公園となっています。

ちなみに、わずかに売れた3戸の住宅のうち、1つはグエル、もう1つはガウディが買ったもので、
ガウディが住んだ家は、博物館として残っています。

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ピンク色の外装もラブリーなお家。
これ、スペインだから違和感ないけど、日本で建てたら
「あぁ~、なんてこの色にしちゃったんだろうね~??」って感じの色だなぁ。
やっぱり、スペインの風土と日本の風土では、似合う色が違うのだなぁ、としみじみ。

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斜めの柱が印象的な回廊。
どことなく南米の雰囲気もある。
日差しが強くて、歩いているとジリジリと暑いのに、日陰に入るとひんやり。
湿気がないとこんなにも涼しいのか。

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高台の広場は、ぐるりとタイル張りのベンチ。

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ぐねぐねと波状になったベンチは、観光客に大人気。
実際、ひんやりとして、座り心地もよいのです。

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広場の下は、ギリシア神殿の柱が林立するスペース。
もの売りのお兄さん、お姉さんがたくさん。

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ここの天井も一面タイル張りです。

そして、グエル公園いえば、「トカゲ」!

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バルセロナのシンボルのようになっていて、お土産屋さんでもよく見かけます。

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本物ももちろん人気者で、記念撮影をする人であふれていました。
まぁ、私もトカゲくんと写真、とってもらいましたが。

さて、最後に、外観だけ見に行ったガウディ建築たち。

グエル別邸のドラゴンの門扉。

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外尾悦郎さんがこの扉のデザイン性と機能性を絶賛していたので、見に行かずにはいられなかった所。

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見るだけではなく、実際に動かして見たかった・・

それから、グエル邸。

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グエル邸は、現在改修中のため入れず。
建物の内部も素晴らしいと聞いていたので、残念でした。

そして、カサ・ビセンス。

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ガウディの初期の作品で、イスラム風味を漂わせた建物です。

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発注者のビセンス氏がタイル業者だったこともあって、タイルが多用されています。
個人宅のため、見られるのは外観のみ。
しかし、この建物はさすがには、住みたいとは思わないなぁ。

私がバルセロナで見たガウディ建築は、これで全部。
次は、グラナダのことを書こうと思います。
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by simo_kuri | 2011-06-16 00:34 | 見る

日本の原風景 と 印象派

先週末は、アートデイズ。

土曜日は、何だかとっても日本画が見たくなって、『山種美術館』へ。

ゴールデンウィークのスペインで、ヨーロッパとイスラム文化の強迫的なまでの装飾に触れて、
いささか食傷気味だったので、「余白の美」を感じたかったのかもしれない。

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ちょうど『美しき日本の原風景-川合玉堂・奥田元宋・東山魁夷-』の開催初日でした。
玉堂も魁夷も好きな画家さんなので、嬉しい。

特に玉堂の、新緑や春雨を描いた作品は、ざわざわという葉ずれの音や
さぁっと降り出した雨の匂いが感じられるようで素敵です。
「日本の原風景」というタイトルの通り、日本人の五感に染みついているものを
呼び覚ますような作品ばかりでした。
潤うなぁ。

見終わってから、喫茶スペースで一休み。

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展示作品をイメージした和菓子がメニューに出ていて、その美しさにやられて、
一休みせずにはいられなかった、というか。
どれにするか迷って、お抹茶と「水のほとり」のセットにしました。
こし餡の上に青もみじを散らした錦玉寒。
和菓子は、世界に誇れる芸術だなぁ、としみじみ思う。
あ、でも、お味の方は、私には甘みが強かったです。ほんのり甘い位の方が好き。

日曜は、4月に京都から神奈川に帰って来た友人Aちゃんと、国立新美術館へ。

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こちらは、『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展』。

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副題は、「印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」
西洋画はあまり好んで見に行かないのですが、印象派は別。
モネとかマネとか大好きです。

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印象派以前のみっちり重みのある絵に比べて、明るく抜け感のある所が好きなのです。

でも、「奇跡」って、言い過ぎじゃないだろうかね。

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今回は、チケットやポスターにもなっている、マネの「鉄道」、
モネの「日傘の女性、モネ夫人と息子」、ルノワールの「踊り子」、ゴッホの「自画像」など、
よく知られている作品も多く、見応えがあります。

さらに、展示として面白いと思ったのは、「紙の上の印象派」というセクション。
素描や版画などが数多く出展されています。
セザンヌの自画像スケッチやゼラニウムを描いた習作、ルノワールの「田舎のダンス」の下絵など
普段見ることのない作品が並び、興味深い。

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それから、スーラやラトゥール、バジール、カサットといった、私が今まであまり
気にしていなかった画家達の作品の良さに気付けたのも、嬉しいことでした。
特にスーラは、もっと色んな作品を見てみたい。

国立新美術館は、建物自体も面白い。

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そちこちに置いてある、椅子もお洒落なものばかり。

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素敵だ、と思いつつもハイソサエティな雰囲気に、ちょっと気後れしたりする。

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谷中に戻って、商店街を歩いているとほっとする。
谷中は私の原風景なのかもしれない。
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by simo_kuri | 2011-06-13 22:24 | 見る

いちじくコンポート

旬には大分早いのですが、いちじくが売っていたので、思わず買ってしまいました。

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あまりメジャーではない果物ですが、大好きなのです。
スーパーに並ぶことは少ないし、時期も限られているし、値段も高めなので
しょっちゅう買うわけにはいかないけれど、折りにふれ食べたくなる果物です。

1パック300円が、2パックなら500円、と聞いて欲張って2パック買ってしまった・・
熟したいちじくは足が速いのに・・

生食では食べきれずにダメにしてしまいそうだったので、加工することにしました。

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赤ワインでコンポートに初挑戦。
皮をむいて、ひたひたの赤ワインと砂糖で煮る。
沸騰したら落とし蓋をして、弱火で15分。

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完成。

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ついでに、ヨーグルとを生クリームで、お手軽ムースも作ってみました。

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水切りしたプレーンヨーグルト450gと泡立て生クリーム100ccと砂糖40g、
ゼラチン5gを混ぜて、冷蔵庫で冷やすだけ。

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簡単なのに、お洒落スイーツっぽい。
コンポートにシナモンスティックを入れたのが大正解で、大人な味に仕上がりました。
シナモンスティック偉大なり。

これはよいなぁ。
また作ろう。
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by simo_kuri | 2011-06-13 01:34 | 作る

スペイン旅行 ~バルセロナ ガウディ住宅編~

バルセロナには、サグラダ・ファミリア以外にもガウディの手がけた建物が多く残っています。

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中でもよく知られているのは、グラシア通りにある『カサ・ミラ』と『カサ・バトリョ』。
グラシア通りは、ブランド店が多く、日本で言う銀座のイメージ。
「カサ」は、「家」または「集合住宅」の意味です。

まずは、『カサ・ミラ』。
別名をペドレラ=石切場といい、バルセロナ近郊にあるキリスト教の聖地、モンセラットを
イメージしたと言われています。

エントランスを抜けると、中央部分は大きな吹き抜け。

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ガウディは、タイルや彫刻のイメージが強かったから、こういう壁画の表現は意外。

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建物の中に入ってエレベーターで屋上に上がります。

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屋上に上がると、山のイメージがよくわかる。

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巻貝のようにらせん状の煙突。

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粉砕タイルで覆われた、この煙突は、デザインの面白さだけでなく、らせんに風を巻き込んで
煙を外へ追い出す優れもの。

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しかも表情ゆたか。

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茶色の煙突の方は、友人Hとともに勝手に「鉄仮面」と名付けました。

屋上から再び建物の中戻ると、そこはガウディの博物館になっています。

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様々な模型や椅子、ガウディが建築の参考にした自然の造形など、展示自体も興味深いのですが、
この屋根裏の空間の見事さに、心奪われました。

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まるで大きな魚のお腹の中に入ってたかのよう。

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さらに階下へ降りると、住居部分。
廊下に出ると白い光が指し込みとても明るい。

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何とも気持ちのよい空間です。

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見た目の奇抜さに対して、内部は人が住むのに快適であることを大切にした作りでることが
感じられます。

もう一つ、グラシア通り沿いに建てられているのが、『カサ・バトリョ』。

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カサ・ミラがモンセラットの山ならば、こちらは、カサ・バトリョはどことなく海を思わせます。

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船の舳先にも仮面のようにも見えるバルコニー、さざ波のきらめきのようなタイル。

1階のエントランスから、上階へ登るらせん階段は、大きな動物の脊椎のよう。

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2階はバトリョ一家のお屋敷。

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きのこ型のこれは、ストーブ。

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部屋はステンドグラスが多用されて、指し込む光が印象的。

大きな窓のあるここは、大広間。

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大きな貝のようなうずまき模様の天井。

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ここに通された当時のお客さん達は、きっと息を飲んだのだろうなぁ。

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これは、洗面台。
なんてモダン!
デザイナーズマンションのような。これが100年以上も前のものなんて!

建物の中心は、吹き抜けです。

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タイルと陶器で青く彩られた壁面。
この吹き抜けは、下から上へ、薄いブルーグレーから濃い藍色へとグラデーションになっています。

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下に行くほど反射率の高い薄い色にすることで、下の階まで光を行き渡らせるのです。
実際、この吹き抜けは、下の階でも明るかった。

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どくろのような明かり取りの窓は、あまり好きではないのですが、この窓にもひと工夫が。
内側から見ると、歯のような羽目板が回転し、温度調節ができる換気口になるのです。
さらに、光の強い上階は窓を小さく、下階は光を多く取り込むために大きく作ってあります。

これは食堂。

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中庭へと続く扉の真ん中には、淡いパステル調のモザイク模様の柱が2本。

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これ、タイルのように見えるけれど、色をつけたうえに彫って模様をつけてあるのです。
不思議な造形。
でも、この色合いは好き。

最上階は、洗濯室。ここは白が基調となっています。

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懸垂曲線で形作られた通路。
明るく、清潔感のある空間です。

屋上には、またもや鉄仮面のような煙突が突き出ています。

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表通りに面した壁面の最上部は、ドラゴンの背を思わせる。

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この造形から、カサ・バトリョは、カタルーニャの守護聖人であるサン・ジョルディの
竜退治の伝説をモチーフにしていると解釈している人もいます。

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確かに、うろこのようにも見える。

ガウディ建築というと、曲面で構成された、奇抜で独特なその見た目のイメージばかりが
広まっていますが、実は、機能面から見てもすぐれた作りをしているのです。
採光性や通気性を考えた窓や吹き抜けの作り。
人の体にフィットするように作られた、ドアノブやベンチ。

カサ・バトリョは、今でも実際に人が住んでいます。
それは、単にそのデザイン性や世界遺産に住む、というステータスだけではなく、
ちゃんと人にとって心地のよい空間であるからなのだと思います。
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by simo_kuri | 2011-06-02 01:04 | 見る

スペイン旅行 ~バルセロナ サグラダファミリア編②~

サグラダ・ファミリア聖堂の東側に位置する生誕のファサード。

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こちらは、受難のファサードと比べて写実的で、隙間なく装飾が施されています。
ガウディの生前に着手されていた部分で、一般的にはこちらの門の方が
よく知られているかと思います。

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ちなみに、この生誕のファサードの15体の天使像は、日本人の外尾悦郎さんが
彫ったものです。
外尾悦郎さんは、日本人で始めてサグラダ・ファミリアの石工となった人で、
昔、ネスカフェゴールドブレンドのCMをしていたので、それを覚えている人も
いるかもしれない。

バルセロナへ行く前に、友人Hのオススメで『ガウディの伝言』という著書を読みました。

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ガウディがどのように生き、どのように考えた人なのか、
サグラダ・ファミリアが目指すものは何なのか、
石工として現場で働いている人だからこそ書ける、しっかりとした手触りと重みのある一冊でした。
サグラダ・ファミリアだけでなく、バルセロナを見て回る中で、読んでおいてよかったと
思う場面がいくつもありました。

話を戻すと、生誕のファサードは、イエスの生誕から初説法までの場面が表現されています。

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入り口の中心の柱には、生まれたばかりのイエスと、見守るマリアとヨセフ。

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周囲には、東方の三博士と羊飼い、そして楽器を奏でる天使たち。

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さらに、様々花や果実などの植物、犬や鳥や馬などの動物がキリストの生誕を
祝福するように取り囲んでいます。
到るところに散りばめられた彫刻の一つ一つを見ていくのは、ウォーリーをさがせ!
のような楽しさがあります。

ファサードの左右を支える柱の下には、亀の彫刻。
それぞれウミガメとリクガメ。

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これは、4本の足と甲羅で柱をしっかりと支える構造的役割と
たとえゆっくりでも建設を続けていこうという意思を示す象徴的な役割と
生誕のファサードに降り注いだ雨が柱の中を通って、亀の口からはきだされる、
雨どいとしての機能的な役割を併せ持っています。
サグラダ・ファミリアはこのような、構造(デザイン)と象徴と機能を併せ持つ箇所が
随所に見られます。

塔の内部にも登ってみました。
通常の入館チケット+リフトのチケットを買うと、塔の中のエレベーターで上まで上がることが
できます。

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登れるのは、生誕のファサードと受難のファサードのエレベータの2箇所。

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チケットに、時間とどちらのエレベーターなのかが記載されています。
私は生誕のファサード側のエレベーターでした。
ちなみに、チケットを買う時には、時間やエレベーターに指定があることは説明がありませんでした。
なので、入場してすぐにエレベーターに並ぼうとした所で、もぎりのお姉さんに説明されて、
やっとわかった次第。
他にも、同じような説明を受けている人が多くいたので、もうちょっと説明なり案内なりが
あってもいいと思うんだよねー。
私の場合、指定の時間まで、1時間位ありました。
混みようによっては、リフト待ちで予想外に時間がかかることもありそうです。
サグラダ・ファミリアで塔に登りたいと思う人は、見学の時間は余裕を見ておくのがよさそうです。
もっとも、1時間位であれば、サグラダ・ファミリアでは、すぐに経ってしまいますが。

エレベーターで約50mの高さまで登り、その後は自力で塔の階段を降りていくようになっています。

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エレベーターを降りると、まずは、生誕のファサードの頂上にある木の彫刻の裏にある、
塔と塔をつなぐ橋のような所を渡る必要があります。

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いやぁ、ここが怖い!
下の風景をカメラにおさめたいけれども、落としそうでこわい!

下から見ると

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階段は幅が狭いので、お年寄りやお腹の大きい人にはおすすめできません。
実際、そういう案内板がエレベーター前に立っていました。
昔は、エレベーターではなく階段で登ることもできたそうです。

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手すりはないですが、幅が狭い分、左右の壁を伝っていけばよいので、「高い!」「長い!」を
除けば、階段自体はそれほど降りにくいということはありません。

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それよりは、塔の内部やフルーツを盛ったかごの塔が近くで見れることの方が面白い。

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アンモナイトを思わせるらせん階段。見事な。
でも、これも内側には手すりがないから、上から見ると結構こわいのです。

塔の内部をぐるぐる回りながら降りて行って、最後は鉄格子の扉を開けて、地上に生還!

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ふぅ。
リフトは、風の強い日などには、安全確保のために停止します。
私は初めて行った日に強風で登れなかったので、別の日にもう一度行きました。

最後に、生誕のファサード側にある公園からのサグラダ・ファミリアを見ました。
何しろ大きいので、近くからだと全体がよくわからないのよね。

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それと、この公園からぜひ見たかったものがあったのです。

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それが、生誕のファサードの上部に配置されているペリカン親子の彫刻です。
『ガウディの伝言』にこのペリカンのことが書かれていて、実際に確認したかったのです。

親子の愛情の象徴として置かれたこのペリカン達、生誕のファサードの上という重要な位置に
置かれているけれど、近くから見上げても、その下の彫刻に遮られて見ることはできません。

遠くから、しかもズームしないとよくわからないような所に置かれた彫像。
教会とは、人のためだけのものではなく、神に捧げられたものなのだ、とつくづく思う。

サグラダ・ファミリアほど、神への感謝と賛美に満ち溢れた教会は、見たことがない。
そして、こんなに祝福に満ちた教会も。
私はクリスチャンではないし、宗教も持っていないけれど、この光でいっぱいの教会は、
宗教を超えて心に迫るものがありました。

2026年とはいかなくても、いつか完成したサグラダ・ファミリアを訪れたいなぁ。
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by simo_kuri | 2011-06-01 02:27 | 見る