ぐるりのいずみ

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吉例顔見世歌舞伎 @新橋演舞場

6月のコクーン以来の歌舞伎。

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夜の部で菊之助が踊る『京鹿子娘道成寺』の評判が良いので、急に見たくなって
衝動的にチケットをとってしまいました。

今月は『天守物語』もあるし、控えようと思ってたんだけどなぁ。
お芝居は、「今、この時!」を逃すと二度と見れないから、いいものは多少無理をしても
見ておかないとって思っちゃうんですよね。

今回の顔見世は、七世尾上梅幸と二世尾上松緑の追善公演ということで、二人に縁のある
演目が選ばれているそうです。

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夜の部は、現・松緑の『外郎売』から。
口跡も鮮やかな松緑は、外郎売りの来歴を語る早口言葉の長台詞も、立て板に水。
危なげなく、耳に心地よい。
松緑さんは「小気味良い」という表現がよく似合う。

二つ目の演目がお目当ての『娘道成寺』。
全部で一時間近くもある女形舞踊の大曲ですが、菊之助の道成寺は、素晴らしかった。
華やかで娘らしい愛らしさと色気があって、体もよく動く。
踊り毎に変わる衣装は、どれも品よく美しい。
どんなに激しく動いても、気品があるのは、菊之助の個性だなぁ。
大満足です。

最後の演目は、『髪結新三』。
『娘道成寺』が目的だったので、『髪結新三』はたいして気にしてなかったのですが、
見てみたら、こちらも、実に面白かった!

菊五郎の演じる新三も、三津五郎演じる大家の長兵衛も、実に生き生きとして楽しい。
江戸の空気を感じるいいお芝居でした。

急に思い立って観に来たれど、ほんとに、思い立ってよかった!

12月には、平成中村座で菊之助が『菅原伝授手習鑑』の桜丸を演じるので、
それも観に行く予定です。

今から楽しみだー。
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by simo_kuri | 2011-11-30 23:01 | 見る

天守物語 @新国立劇場 中劇場

泉鏡花の『天守物語』を白井晃演出、篠井英介主演で。
こんな、私の好きなものばかりを集めたような公演は、行かずばなるまい!
ということで、19日に母と二人で初台の新国立劇場まで行ってきました。

翻訳物の演出をすることの多い白井さんが、日本の作家の、しかももはや古典と言っていい
鏡花の名作を、どんな風に見せてくれるのか、期待に胸を膨らませながら、席に着きました。

ですが、観終わった感想は、
「ずいぶんまともに優等生な舞台になっちゃったなぁ」
でした。

1つ1つの要素を見れば質は高いのだけど、全体として訴えかけてくる力が感じられなかった。
「【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識」というサブタイトルにふさわしく、美しい舞台。
でも、きれいにまとまりすぎて、面白くない・・というか。
もっと冒険して、新しい「白井晃の天守物語」を見せてほしかったんだけどなぁ。

そうは言っても、白井さんらしさ随所に見られました。
まず装置。
殺風景とも思えるほどに装飾性を排した一面黒の舞台。劇場の高さと奥行きを活かして
妖しの世界を出現させる。
シンプルな舞台では、役者の身体と鏡花の流麗な台詞が一層を際立つ。
それだけに演じる側には怖い舞台かもしれない。
最小限に絞られた小道具やクラシックやギターを使った音楽も効果的。

篠井さんの富姫は、抑えた中にも威厳と妖しさを備えて美しい。
日本舞踊の名取でもあり、現代演劇の中で女形としてずっと活躍してきている篠井さん、さすがだ。

それでも、物足りない、と思ってしまうのは、白井さんと篠井さんに期待しすぎなのか、
ただの欲張りなのか。

例えば、朱の盤坊。
坂元さんはよく頑張っていたと思うけど、いかんせん、動きが日舞ではなく、洋舞なんだよねー。
中途半端に歌舞伎のまねごとの振りやメイクをする位なら、劇団四季出身という坂元さんの経歴を
活かして、ミュージカル調にしちゃうくらいの遊びがあってもよかったんじゃないかなぁ。

新しいと思ったのは、冒頭のシーン。
白い洋服で舞台中央に倒れている女(男か?)。
それを見つめるタキシードの男2人。
倒れている女は、やがて静かに立ち上がり、舞台奥へと消えていく。
富姫が人から妖しのモノに変わるシーンを、プロローグとして見せるというのは、面白い。
倒れている女は、もちろん篠井さんだけど、白いシャツに白いズボン、かつらもなしで
後ろ姿だけで、女を感じさせなきゃいけない、というのはずいぶん難しい演技だなぁ。

見つめる男の1人は平岡君。もう1人は小林勝也さんで、近江之丞桃六。
桃六の方は、この後もタキシード姿で意味ありげに舞台奥を歩いていたりするので、ラスト近くの
登場シーンでどんな役割を果たすのだろう??と待っていたら、いたって普通の桃六で、拍子抜け。
確かに桃六は、いきなり現れてどうにもならない状況を打破する、重要な役どころではあるけど、
何だったんだ、あの前振りは。
あ、違うか、「いきなり現れたこの人はだれ?」っていう違和感を失くすための前振りだったのか。
私は、桃六はあくまでデウス・エクス・マキーナってことで納得してしまっていたので、
むしろもっと深い意味があるのかと深読みしてしまいましたよ。

でも、それだけのためにこの冒頭シーンを作ったのだろうか。
後から考えてみるに、洋装=現実=下界と和装=虚構=天守(=この世ならざるもの)という
対比だったのかもしれない。
んー、いずれにしても意図のわかりにくい演出でしたね。

もう一度言っておくと、クオリティの高いお芝居ではあります。
でも、白井さんと篠井さんなら、もっと面白くできたはず。
願わくは、再演してさらによい作品にならんことを。
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by simo_kuri | 2011-11-21 23:16 | 見る