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勘九郎襲名披露公演 @新橋演舞場

いよっ! 中村屋!

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新橋演舞場の二月公演は、中村勘九郎の襲名披露公演。
昼の部も夜の部も、両方見たくて、迷って迷って夜の部に。

コクーン歌舞伎の三五郎と十二月大歌舞伎の梅王丸がよかったので、襲名披露もきっと
いい芝居をみせてくれるだろう、と思っていました、期待以上!

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夜の部は、『鈴ヶ森』、『口上』、『春興鏡獅子』、『ぢいさんばあさん』。

『鈴ヶ森』は、勘三郎さんと吉右衛門の二人が組んで、安心して見ていられる。
母が好きで、鬼平犯科帳をよく見ていたので、私にとって吉右衛門さんは、今でも長谷川平蔵の
イメージが強い。
幕府の役人と渡世人の親分では、立場は違うけれど、気風のいい親分肌は同じで、実にしっくり。

次の口上は、豪華な面々で、ため息がでるほど。
「毎日違うこと言ってるのかなぁ。」とか
「紋付の色はどうやって決めてるのかなぁ。」とか
「並び順はどんな決まりがあるんだろう?」とか、色々考えつつも、印象に残ったのは、
橋之助さんの口上でした。
勘三郎、勘九郎、そして去年生まれた勘九郎の長男、七緒八くんへの寿ぎが多いなか、
弟の七之助への引きたてをお願いしていたのは、橋之助さんだけでした。
まぁ、私が見た回は、ということかもしれませんが・・

小さい頃から仲が良くて、これからも兄弟一緒にやっていくのだろうけれど、
勘九郎を襲名して、ゆくゆくは勘三郎の名も継ぐであろうお兄ちゃんに比べて、
継ぐべき名跡のない弟としては、純粋に嬉しいばかりではないのだろうと思うのです。
まぁ、そんなこと歌舞伎とか能とかのお家元ではよくある話なのだろうけれど。

橋之助さん自身も弟で、父親の芝翫の名前は兄の福助さんが継ぐであろう、という状況は
七之助と同じです。
勘九郎・七之助の叔父でもある橋之助さんの口上は、愛情と少しの切なさがありました。

さて、3演目が、目玉の『鏡獅子』。
前半は可憐なお小姓、弥生、後半は荒々しい獅子の精、という異なる役柄を踊り分ける、
難しい演目です。

勘九郎の弥生は、若い娘らしい初々しさを見せて、意外にかわいらしい。
最近の勘九郎は、立役を演じることが多いし、柄も大きいので、色っぽさはないものの、
恥じらいながら踊る姿は、修練もたまもの。
単に型をなぞるだけではなくて、心のこもった丁寧な踊りでした。

後半の獅子は、勇壮という言葉がぴったり。
激しい動きの中にも、凛とした気品が漂います。
毛振りも、最後まで型を乱さず回し切り、気迫あふれる舞台に圧倒されるばかり。
いやはや、これは、すごいものを見た。

最後は『ぢいさんばあさん』。
三津五郎さんと福助さんが、ラブラブバカップルと老夫婦を演じて、いい味だしてますが、
お話としてはどうなんだろう?
『鏡獅子』でヒートアップした舞台をクールダウンする感じでしょうか。
でも、なぜ、襲名披露公演のキリにこの演目なんだろう??

総じて、とにかく勘九郎の気合いと力があふれ出るような舞台でした。
お父さんが一代で大きくした、『中村勘九郎』という名。
その名前に負けることなく、お父さんとはまた違った『勘九郎』を作っていくのだろうと、
期待と確信の持てる襲名披露公演。
これからの勘九郎が楽しみでたまりません。
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by simo_kuri | 2012-02-10 01:22 | 見る

アラカルト2~役者と音楽家のいるレストラン~ @青山円形劇場

クリスマスのお約束。

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毎年12月に青山円形劇場で上演される『アラカルト』。
観に行くようになって18年目になりました。
私にとっては、これを観ないとクリスマスも新年も迎えられない、年中行事のようなもの。

『アラカルト』は、ショートショートのお芝居とジャズを織り交ぜて、クリスマスの
フレンチレストランを描いた舞台です。
「~役者と音楽家のいるレストラン~」という副題通り、ディナーを一品一品味わうように
お芝居と音楽をフルコースで楽しめます。

元々は、「全自動シアター/遊◎機械」の中心俳優だった高泉淳子、白井晃、陰山泰の3人と
ヴァイオリニストの中西俊博を中心に始まった舞台で。
「遊◎機械」が解散した後も、『アラカルト』は続いていましたが、
20周年記念の公演を最後に白井さん、陰山さんが卒業してしまいます。

残った高泉さんと中西さんに新しいメンバーを加えて、リニューアルしてから3年。
やっと安心して楽しめるようになってきました。
前回までは、白井さんと陰山さんの抜けた穴が大きすぎて、見る方も演じる方も、ぎこちなさが
ありました。
私も、ずっと観てきて、ひとかたならぬ思い入れがあるだけに、いたるところに二人の影が
ちらついて、懐かしさと寂しさで泣きそうになるのをこらえながら見た覚えがあります。

でも、今回は『アラカルト2』として、一人一人の個性が立ってきて、チームワークもよくなり
バランスがとれてきました。

今までの『アラカルト』の良さは失くさずに、でも新しい形に変わっていく。
23年も続けているのに、まだまだ成長していくのだなぁ。

ちなみに、この日の日替わりゲストは篠井英介さんでした。
女形していると気付かなかったけれど、普通に洋服着てると、手足がものすごく細くて長い!
微笑みながら、穏やかに丁寧に話しをする篠井さんは、本当にすてき。

リニューアルしてからの定番になった、高泉さんとゲストの即興芝居も、きれいにまとめて流石!
なまじ台本のある前半部よりも、後半アドリブになった時の方が生き生きしてました。

ショータイムには、背中と足を大胆に見せたドレスで『キャバレー』のナンバーをたっぷりと
聴かせてくれました。
そうか、この人はミュージカルもできる人だったんだよね。
それにしても、さっきまで大人でもの静かな男性を演じていたのに。
一か月前には、富姫さんだったのに。
いやぁ、いいもん見たぜ。

最後にもう一つ、嬉しいことがありました。
それは、フィナーレのあいさつに登場した篠井さんが、「わがままを言って紹介させてください」と
前置きをしてから、客席に白井さんが来ていることを教えてくれたのです。
高泉さんは、知らなかったのか、白井さんを見つけて泣いていました。
思わず私ももらい泣き。

篠井さん、よくぞ教えてくれました。グッジョブ!!

『アラカルト』はこれからも、大丈夫、と思わせてくれた舞台でした。
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by simo_kuri | 2012-01-28 21:24 | 見る

平成中村座 十二月大歌舞伎

去年のことになってしまうけれど、中村座のことは書いておきたい。
6月のコクーン歌舞伎を見て以来、すっかり勘太郎贔屓になったので、楽しみにしていた公演です。

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平成中村座は、去年の11月から今年の5月までのロングラン公演中。
浅草は隅田公園に仮設の劇場を建てての興行です。

江戸の芝居小屋を模して造られた会場の周辺はお祭りのようで活気があります。
小屋の中には、靴を脱いで上がります。
普通の劇場とは違って、クロークもないし、座席も狭いので、冬場で寒いとはいえ、
ブーツを履いていくと、置き場所に困りそう。

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1階席の前部分は平土間、後ろは床几席になっています。
私は、お尻が痛くなることを覚悟で、平土間。
でも、座椅子が置いてあるので、コクーン歌舞伎の座布団のみの時よりずっと楽でした。

私が見た昼の部の演目は、『菅原伝授手習鑑』。
義太夫狂言の三名作の1つです。

一幕目は『車引』。
勘太郎演じる梅王丸が、覇気にあふれてて目を惹きます。
2月には勘九郎襲名がひかえているだけあって、力も気合いも十分といった感じ。
それに比べると、菊之助の桜丸と彌十郎の松王丸は、いくぶん弱いように感じました。

二幕目は『賀の祝』。
前半部、梅王丸と松王丸の喧嘩の荒っぽさ、滑稽さがあるからこそ、後半の桜丸の悲痛な
切腹シーンが映えます。
三兄弟の父親、白太夫を演じた彌十郎が、しっかりと舞台を締めていてよかったです。

三幕目は『寺子屋』。
首実検で有名な場ですが、松王丸は勘三郎。
復帰後の勘三郎さんを見るのは初めてでした。
以前よりちょっと元気がないような印象は、役柄のせいでしょうか?
何せよ、勘三郎さんがいるのといないのとでは、大違いですね。
舞台に戻ってきてくれたことは、嬉しいことです。

寺子屋の主、武部源蔵と妻の戸浪を演じたのは、菊之助と七之助。
そつなくこなしていましたが、まだまだ若い!という印象。
松王丸と千代の夫婦と並んでしまうと・・・

千代役の扇雀さんが、芯の強さと愛情深さをみせて流石の出来でした。
いつか、近い将来、松王丸と千代を、勘太郎、菊之助、七之助が演じるようになるのだろうなぁ。

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次の歌舞伎は、2月の勘九郎襲名披露。
夜の部の『春興鏡獅子』が今から楽しみ。
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by simo_kuri | 2012-01-28 13:52 | 見る

吉例顔見世歌舞伎 @新橋演舞場

6月のコクーン以来の歌舞伎。

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夜の部で菊之助が踊る『京鹿子娘道成寺』の評判が良いので、急に見たくなって
衝動的にチケットをとってしまいました。

今月は『天守物語』もあるし、控えようと思ってたんだけどなぁ。
お芝居は、「今、この時!」を逃すと二度と見れないから、いいものは多少無理をしても
見ておかないとって思っちゃうんですよね。

今回の顔見世は、七世尾上梅幸と二世尾上松緑の追善公演ということで、二人に縁のある
演目が選ばれているそうです。

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夜の部は、現・松緑の『外郎売』から。
口跡も鮮やかな松緑は、外郎売りの来歴を語る早口言葉の長台詞も、立て板に水。
危なげなく、耳に心地よい。
松緑さんは「小気味良い」という表現がよく似合う。

二つ目の演目がお目当ての『娘道成寺』。
全部で一時間近くもある女形舞踊の大曲ですが、菊之助の道成寺は、素晴らしかった。
華やかで娘らしい愛らしさと色気があって、体もよく動く。
踊り毎に変わる衣装は、どれも品よく美しい。
どんなに激しく動いても、気品があるのは、菊之助の個性だなぁ。
大満足です。

最後の演目は、『髪結新三』。
『娘道成寺』が目的だったので、『髪結新三』はたいして気にしてなかったのですが、
見てみたら、こちらも、実に面白かった!

菊五郎の演じる新三も、三津五郎演じる大家の長兵衛も、実に生き生きとして楽しい。
江戸の空気を感じるいいお芝居でした。

急に思い立って観に来たれど、ほんとに、思い立ってよかった!

12月には、平成中村座で菊之助が『菅原伝授手習鑑』の桜丸を演じるので、
それも観に行く予定です。

今から楽しみだー。
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by simo_kuri | 2011-11-30 23:01 | 見る

天守物語 @新国立劇場 中劇場

泉鏡花の『天守物語』を白井晃演出、篠井英介主演で。
こんな、私の好きなものばかりを集めたような公演は、行かずばなるまい!
ということで、19日に母と二人で初台の新国立劇場まで行ってきました。

翻訳物の演出をすることの多い白井さんが、日本の作家の、しかももはや古典と言っていい
鏡花の名作を、どんな風に見せてくれるのか、期待に胸を膨らませながら、席に着きました。

ですが、観終わった感想は、
「ずいぶんまともに優等生な舞台になっちゃったなぁ」
でした。

1つ1つの要素を見れば質は高いのだけど、全体として訴えかけてくる力が感じられなかった。
「【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識」というサブタイトルにふさわしく、美しい舞台。
でも、きれいにまとまりすぎて、面白くない・・というか。
もっと冒険して、新しい「白井晃の天守物語」を見せてほしかったんだけどなぁ。

そうは言っても、白井さんらしさ随所に見られました。
まず装置。
殺風景とも思えるほどに装飾性を排した一面黒の舞台。劇場の高さと奥行きを活かして
妖しの世界を出現させる。
シンプルな舞台では、役者の身体と鏡花の流麗な台詞が一層を際立つ。
それだけに演じる側には怖い舞台かもしれない。
最小限に絞られた小道具やクラシックやギターを使った音楽も効果的。

篠井さんの富姫は、抑えた中にも威厳と妖しさを備えて美しい。
日本舞踊の名取でもあり、現代演劇の中で女形としてずっと活躍してきている篠井さん、さすがだ。

それでも、物足りない、と思ってしまうのは、白井さんと篠井さんに期待しすぎなのか、
ただの欲張りなのか。

例えば、朱の盤坊。
坂元さんはよく頑張っていたと思うけど、いかんせん、動きが日舞ではなく、洋舞なんだよねー。
中途半端に歌舞伎のまねごとの振りやメイクをする位なら、劇団四季出身という坂元さんの経歴を
活かして、ミュージカル調にしちゃうくらいの遊びがあってもよかったんじゃないかなぁ。

新しいと思ったのは、冒頭のシーン。
白い洋服で舞台中央に倒れている女(男か?)。
それを見つめるタキシードの男2人。
倒れている女は、やがて静かに立ち上がり、舞台奥へと消えていく。
富姫が人から妖しのモノに変わるシーンを、プロローグとして見せるというのは、面白い。
倒れている女は、もちろん篠井さんだけど、白いシャツに白いズボン、かつらもなしで
後ろ姿だけで、女を感じさせなきゃいけない、というのはずいぶん難しい演技だなぁ。

見つめる男の1人は平岡君。もう1人は小林勝也さんで、近江之丞桃六。
桃六の方は、この後もタキシード姿で意味ありげに舞台奥を歩いていたりするので、ラスト近くの
登場シーンでどんな役割を果たすのだろう??と待っていたら、いたって普通の桃六で、拍子抜け。
確かに桃六は、いきなり現れてどうにもならない状況を打破する、重要な役どころではあるけど、
何だったんだ、あの前振りは。
あ、違うか、「いきなり現れたこの人はだれ?」っていう違和感を失くすための前振りだったのか。
私は、桃六はあくまでデウス・エクス・マキーナってことで納得してしまっていたので、
むしろもっと深い意味があるのかと深読みしてしまいましたよ。

でも、それだけのためにこの冒頭シーンを作ったのだろうか。
後から考えてみるに、洋装=現実=下界と和装=虚構=天守(=この世ならざるもの)という
対比だったのかもしれない。
んー、いずれにしても意図のわかりにくい演出でしたね。

もう一度言っておくと、クオリティの高いお芝居ではあります。
でも、白井さんと篠井さんなら、もっと面白くできたはず。
願わくは、再演してさらによい作品にならんことを。
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by simo_kuri | 2011-11-21 23:16 | 見る

髑髏城の七人 @青山劇場

劇団☆新感線の『髑髏城の七人』を見てきました。

思えば、新感線の舞台を初めて見たのが、この作品でした。
それが、1997年のことなので、それから14年・・・

もうそんなに経ってしまったのか、と改めてびっくり。

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新感線は一時期すごくハマッて熱心に見に行ってたけれど、新橋演舞場とか青山劇場とか、
大きな劇場に進出して、ゲスト出演者も増えてきたあたりで、
チケットも取りにくいし、高いし、なんだが劇場に合わせて芝居も大味になった気がして、
ずっと足が遠のいていました。

でも、今回は大好きな『髑髏城の七人』だし、キャストも面白そうだし、見てみたいという
友達もいたし、ほんとにひさしぶりに「いのうえ歌舞伎」にひたってきました。

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いやぁ、14年経ったけど、新感線スピリットみたいなものは変わっていないのねー。
開演前にかかるメタルサウンドを聞いただけで、嬉しくって鳥肌立ちそうでした。
「あぁ~、これ!これ!」みたいな。

あふれる音楽も劇場全体を染めてしまうような照明の美しさも、
次々と繰り広げられる激しい殺陣も、昔以上の迫力で、「さすが、いのうえ歌舞伎だなぁ」と
思わせられる。
やっぱり、新感線、好きだなぁ。

でも、そういう演出が派手でかっこよくなった分、おポンチ部分がリズム感に欠けて、冗長。
若いメンバーが多いこともあるし、マイクを通していることもあるのだろうけど、
大ぜいでわーきゃーやっているのが耳について、リズムが悪いから、長く感じる・・
「一生懸命おポンチやってます!」って感じで、「がんばってるなぁ」とは思うけど、
「楽しい!」にはならなかったな。

今回再演するにあたり、キャストは一新されて、主要キャストはほぼ客演。
劇団員でメジャーどころ?をやったのは、高田さん、粟根さん、河野くんくらい。

主役の捨之介を小栗旬、天魔王を森山未来、蘭兵衛を早乙女太一が演じてました。

「どうなるのかなぁ?」と期待半分、心配半分でしたが、それぞれに役を自分のものにしてるようで
安心して見てられました。
特に、蘭兵衛の早乙女太一は、生で初めて見たけど、所作がほんとにきれい!
殺陣の美しさは群を抜いてました。
もう、太一君が動くと、空気がガラっと変わって目が引き寄せられるというか。
きっとこの美しさに、役柄の厚みが加わってくると、もっとすばらしいのだろうなぁ。

殺陣は太一君が一番だったけど、演技力という意味では、森山君の天魔王がよかったです。
エキセントリックで、極悪で、まったく共感はできないのだけれど、なんかいい。
97年版だと、捨之介と天魔王が一人二役で、ただの「悪役」でしかなかったから、
今回、独立した役柄になって、存在感が増したのが新鮮だったというのもあるかも。
あ、あと、動き方が、ジャック・スパロウっぽくて、ちょっと面白かった。

うん、森山君の演技は、他の舞台でもまた見てみたい。

新感線、しばらく見てなかったけど、魅力を再確認したので、次の公演もチケットとってみようかなぁ。
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by simo_kuri | 2011-09-30 00:19 | 見る

コクーン歌舞伎 盟三五大切 @シアターコクーン

見終わってからも、ざわざわと血が騒ぐ。

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コクーン歌舞伎『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』は、熱を帯びて胸に迫る芝居でした。

中村勘三郎と串田和美がタッグを組んでシアターコクーンで歌舞伎興行を打ち、話題となってきた
コクーン歌舞伎。
17年目、12回目の今回は、病気療養中の勘三郎が出演せず、若手の役者が中心となっての公演です。

『盟三五大切』は、コクーン歌舞伎では13年ぶりの再演。
前回、勘三郎と役替わりで源五兵衛と三五郎を演じた中村橋之助が、源五兵衛を、
勘三郎の長男、勘太郎が初役で三五郎を、
コクーン歌舞伎初参加の菊之助が、小万を演じています。

と、知ったかぶりで書きましたが、私、コクーン歌舞伎を見るのは初めて。
ずいぶんと前からコクーン歌舞伎のことは知っていたし、見てみたいとは思っていたけれど、
歌舞伎に慣れていなかったことと、チケットが取りにくいことで、敷居が高かったのです。

今回は、主軸の勘三郎さんが出ないということで、例年に比べてチケットの売れ行きは
芳しくないようで、1階の平場席があるのを見つけて足を運びました。

見てみると、こいつぁ、面白い!!

まず、平場席を選んだのが正解。
一階席の前部分を取り外して、座布団席にしたのが平場席。
座布団だけなので、ずっと見ているとおしりは痛くなるし、身動きとりにくかったりしますが、
役者さんが近くを通るので、楽しい!
昔の芝居小屋のような雰囲気。
それから、コクーン歌舞伎に限っては、客先内での飲食が許されているのも嬉しいところ。
歌舞伎の興行では、客先でご飯が食べれるのって普通のことだけど、普通の劇場では、
飲食禁止のところが多いからねー。

さて、お話の内容はというと、
船頭の笹野屋三五郎は、女房で芸者の小万を使って、浪人者の薩摩源五兵衛をだまして、
大枚百両をまきあげます。
三五郎と小万にだまされたことを知った源五兵衛は、復讐の鬼を化して、次々と人を斬り殺していく・・
というもの。

あらすじだけだと、身も蓋もない話だなぁ。
でも、実際には、人の愚かしさや怖さ、哀しさ、健気さがじわじわと感じられる話です。

串田さんの、従来の歌舞伎にはない演出の見事さもさることながら、主役の3人がほんとに
いいんです!

橋之助の源五兵衛は、人が好くてちょっと頼りない旦那が、一歩踏み外して人殺しに変わって
しまった時の狂気と哀しみがひしひしと伝わってきます。
闇討ちをしかけるために、三五郎たちが寝静まるのを家の裏で一人静かに待っている姿が、
月明かりに照らされて浮かび上がってきた時には、背筋がすぅっと寒くなるような・・
効果音もなく、無言でこともなげに人を斬っていく五人斬りの場面は、壮絶ですが、
緊迫感があり美しい。
恨みと断ち切れない小万への思いを抱えて、泣き笑いの顔で小万と赤子を斬るシーンは悲痛。
極悪にも非情にもなりきれず、虚しく一人歩いていくラストシーンは秀逸です。

小万の菊之助は、匂い立つような美しさ。
芸者で人妻っていうだけで色っぽい設定ですが、実際、三五郎と二人のシーンは、
艶やかで、ほぅとため息をついてしまうほど。
三五郎と源五兵衛の二人が惚れこんでsまうのも納得。
単に見た目にきれいというだけではなくて、芸者をするのも源五兵衛を騙すのも、
ひたすらに三五郎のため、という一途で健気なところもあって、かわいらしい。
後半では、子どもを守ろうとする「母親」の顔を見せる所もありますが、それよりは、
三五郎大事の「女」としての表現の方が強かったように思います。

三五郎の勘太郎は、正直こんなにいい役者だと知らなくて、嬉しい驚きでした。
女房に芸者をさせて、お金を稼がせる小ずるい男だけど、自分の気持ちに正直で憎めない。
勘三郎ゆずりの軽さと愛敬に、勘太郎自身の真面目な人柄が加わって、いい男ぶりです。
方法は間違っていたとしても、主のためにと一生懸命になる姿は、実がこもっていい。
最後には、主を騙していたことがわかり、義兄も手にかけてしまったことで、自ら腹を切って
死んでしまいます。
死に際に、斬られて首だけになった小万を胸に抱えて、話しかけるシーンでは、胸をつかれます。

コクーン歌舞伎、勢いでチケットを取ったけれど、見に来てよかったと心底思いました。
今年の冬から来年の春にかけては、平成中村座の公演もあるというし、これは絶対に見に行かなくては。
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by simo_kuri | 2011-06-23 00:06 | 見る

シルク・ド・ソレイユ 『クーザ』

友だちのAちゃんとシルクドソレイユの『クーザ』を観てきました。

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シルクドソレイユは、はるか昔『アレグリア』が初めに来日した時に観に行ったっきり。
何年ぶりだろう?

『クーザ』は代々木体育館の敷地内に建てられた特設テント『原宿ビックトップ』で上演されています。

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ロビーもサーカスらしく、華やか。
ダイハツ協賛なので、ロビーには、でーんっとダイハツ車。

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劇場や映画館とも少し違う、わいわいと賑やかな雰囲気がする。
んー、言い方は悪いかもしれないけど、猥雑でちょっと怪しくて何が起きるのか
わくわくドキドキする雰囲気。

公演は、休憩をはさんで1時間ずつで、トータル2時間半。
でも、開演前にも幕間にも出演者達が客席や舞台上でコントのようなパフォーマンスを
繰り広げているので、飽きません。
客先も巻き込んでのパフォーマンスなので、中には、水やポップコーンをかけられたり、
ステージに上がって一緒にパフォーマンスさせられたりする人も。
私たちの席は、はしっこの方だったので、幸か不幸か何事もありませんでしたが。

シルクドソレイユは、よく「サーカスを超えた」とか「新しいサーカス」と言われますが、
単なる「見世物」としてのサーカスではなく、人の体の美しさ、強さ、不思議さを
魅せる集団ですね。

『クーザ』は旅公演だからでしょうか。
使われている装置も削ぎ落とされたミニマムなもので美しい。
あ、ミニマムというのは、地味だとか装飾性がないということではないです。
そういう意味ではゴージャスと言っていいのだけど、装飾的であると同時に機能的と言えばいいのか。
綱渡りにしても、アクロバットにしても、ホイール・オブ・デス(↓の写真)にしても、
安全と機能をきちんとカバーした上で、すばやい舞台転換ができて、見た目にも美しい、という。

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持っている技自体も質が高いけれど、それ以外の部分も洗練されているし、
あくまでも「見せる」とこと前提にした作りなのがすごい。

舞浜で常設上演されている『ZED』も観てみたくなりました。
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by simo_kuri | 2011-04-30 00:04 | 見る

新春浅草歌舞伎 @浅草公会堂

最近、歌舞伎づいています。

今日は浅草公会堂で『新春浅草歌舞伎』を観てきました。
第一部の演目『三人吉三』が見たくて。

開演が11時だったので、ちょっと早めに浅草に着いて浅草寺へ。
上演中の虫やしないを仲見世で買うつもりなのです。

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あぁー、わかっちゃいたけど、わやだわー。
休日の浅草寺には覚悟が必要だわー。

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人混みは苦手なので、ずんずか進んでお目当てのものを手に入れて、早々に退散することにしました。

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欲しかったのは、人形焼き。
仲見世に数多くある人形焼き屋さんの中でも、この亀屋さんの人形焼きが好きです。

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職人さんが手焼きしている様子を見るのが楽しくて、来るたびにじぃっと見入ってしまいます。
下手すると20分でも30分でも・・・
今日はさすがに、寒いし、歌舞伎もあるので、そこまではいませんでしたが。

さて、今日のメインの歌舞伎です。

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「こいつぁ、春から縁起がええわぇ」の台詞で知られる『三人吉三巴白波』は、
同じ「吉三」の名を持つ3人の白波=盗人のお話。
今回は、七之助が「お嬢吉三」を、亀治郎が「お坊吉三」を、愛之助が「和尚吉三」を演じます。

話の筋は、何となくしか知らなかったのですが、笑いも涙もあれば、立ち回りもあり、
見どころ満載の演目でした。
途中から、三人の吉三の因縁が複雑に絡み合って、何が何やら?? になる辺り、実に歌舞伎的。

お嬢吉三は女装の美青年という設定ですが、これも、歌舞伎の女形ならではの魅力のある役どころですよね。
義兄弟の契りを交わした、お嬢、お坊、和尚ですが、お嬢とお坊がだんだんと恋人みたいに
見えてくるもの面白い。
「巣鴨吉祥院本堂の場」で、再会したお嬢とお坊が、手に手をとって涙流したり、死ぬ覚悟で
二人揃って遺書(?)を書いたり、まるで心中物みたいな雰囲気です。
そういえば、大詰の「本郷火の見櫓の場」は一面の雪ですし、まさに「道行き」ですね。

んんー、「歌舞伎のオモシロイトコ、全部やっちゃえ!」みたいな盛り沢山な演目なのねー。
さすが、河竹黙阿弥作。

そうそう、和尚吉三を演じた愛之助さん、二日前までインフルエンザで休演していたそうです。
病み上がりだというのに、力強く、兄貴肌の和尚を好演していらっしゃいました。
そりゃあ、お嬢もお坊も、「アニキ、ついて行きます!」てなるよね、と納得。
演技もさることながら、ぎゅっと引き締まって、美しい筋肉のついたふくらはぎにも
目を奪われました。
歌舞伎役者さんって、女形でも立役でもすごく筋力が要るものだと知ってはいますが、
まるでアスリートのような足でした。ステキ。

もう一つの演目は、「独楽」。
独楽売りを題材にして、亀治郎さんが「独楽売り萬作」に扮し見せる舞踊。
独楽の由来を語り、曲芸を披露して、最後には、自分自身が独楽となっていきます。

20分ほどの舞踊ですが、「菅原伝授手習鑑」の振りも織り混ぜて、色々に変化していく
軽やかで、楽しい舞でした。

終演は14時。
歌舞伎の舞台は、客席でものを食べてもOKなので、幕間にお弁当(まさに幕の内!)を
食べるのが楽しみだったりしますが、今日はどうしてもおそばが食べたかったので、
幕間は人形焼きでガマンしていました。
なので、ぐぅとなるお腹を抱えて、おそばやさんへ。

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浅草でおそばというと「並木藪蕎麦」かもしれませんが、私にとっては「おざわ」さんです。
30席弱の小さなおそば屋さんですが、おそばもつまみも「うまい!」のです。

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日本酒メニューも豊富なんですが、今回はベルギービールのマレッツ・ブラウン♪
クセが強いかと思いきや、意外に軽やかで旨い!

アテはくるみ味噌。
ごまも入っていて、香ばしい。

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そして、ざるそば。
出汁のきいた辛めのそばつゆに、コシのある細めのおそば。

歌舞伎見て、まだ明るいうちからおそばやさんで一杯飲んで、おそば食べて・・
なーんてぜいたくでシアワセなんだ。

帰り道は、ほろ酔い気分と充実感でごきげんでした。
こんな休日、たまにでよいからまたしたいなぁ。
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by simo_kuri | 2011-01-16 23:22 | 見る

十二月大歌舞伎 & 武士の家計簿

先週日曜は芸能三昧?の一日でした。

まずは、日生劇場で十二月大歌舞伎『摂州合邦辻』の通し狂言と『達陀(だったん)』。
菊之助が主役の玉手御前を通しで初めて演じると聞いて、どうしても見たくなって、
Rちゃんを誘って行くことにしました。

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『摂州合邦辻』は、私にとって思い入れのある作品で、一度ちゃんと見てみたいと思っていたんです。
河内の大名の後妻になった玉手御前が、義理の息子である俊徳丸に恋心を抱き、
毒酒を飲ませて、業病にした挙句、病と義母の恋慕を苦にして出奔してしまった俊徳丸を
追いかけていく、という、うーん、書いてしまうとなんとも修羅場なお話ですね。
最後には、俊徳丸に不義の恋を仕掛けたのも、毒を飲ませたのも、俊徳丸をお家騒動から
守るためだったと告白し、自らの命を絶って俊徳丸の病気を治すのですが・・

果たして、玉手の恋は狂言だったのか、それともお家騒動という建前に隠れて、
本当の恋心を伝えていたのか、解釈は分かれるところですが、
菊之助丈は、後者で演じていたようです。

俊徳丸へ思いを打ち明ける序幕から、一貫して見える俊徳丸への執着は、凄まじくも美しい。
玉手御前は、大名の奥方であり、母親であり、娘であり、女でもあり、その全ての面を表現
しなくてはいけない、女形の大役なのですが、菊之助丈は、どれも見事に演じていました。
「いやぁ、女ってこわいわー」と思いつつも、イヤラシサがない(色気がないという意味じゃなく)のは、
女形が演じてるからなのかなぁ。
生身の女の人が演るともっと、いやぁな感じになってしまうのだろうな。

脇を固める役者さんも魅力的で、とても楽しめました。
玉手御前の父親、合邦を演じた菊五郎は、真面目で情が深いけれど、どこか軽やかさと
愛敬のあるおじいさんぶり。

家老の妻、羽曳野を演じた時蔵は、芯の強い御殿女中を見せてくれました。
俊徳丸の後を追おうとする玉手を諌め、雪の中で立役顔負けの激しい立ち廻りをするのですが、
主君の不義を諌めると忠臣というだけではない、羽曳野の心が見えて素晴らしかった。

玉手は、御殿女中から奥方へと出世しているので、おそらく、羽曳野にとっては、かつての部下。
しかも、羽曳野より二回り位(?)年下で、義理の息子への恋を通そうと、傍若無人の振る舞い。
そんな小娘に仕えなくてはいけなかった羽曳野の心中やいかばかり。
でも、そんな思いを見せつつ、どんなに立ち廻りで乱れても、品を失わないのが、さすが。

Rちゃんは、「昼ドラみたいなドロドロは好きじゃない」と、お気に召さなかったようですが、
私はこういう狂気に転ぶほどの情念が見えるお芝居は好きです。
安珍清姫とか、八百屋のお染とか。
決してドロドロした話が好きなわけではないのですが・・・

念願だった『摂州合邦辻』が見れて満足満足。

二つ目の演目は、『達陀』。
東大寺の二月堂で行われる『修二会』、いわゆる『お水とり』を題材にした舞踊劇です。

練行衆といわれる僧侶達が見せる激しく、勇壮な荒行と、
僧、集慶と青衣の女人の幻想的で妖艶な踊りの対比が面白い。

歌舞伎では珍しく、早いテンポの群舞で見せる練行のシーンは、圧巻です。

装置や照明も現代的で美しく、歌舞伎にもこんな作品があるんだなぁ、と驚きました。
『摂州合邦辻』にしか注目していなかったけど、思わぬところでよい作品に出会えました。


劇場を出て、Rちゃんと感想やら次に見たい芝居やら映画やらの話をしていたら、
「『武士の家計簿』が見たいよね!」と意見が一致。
二人とも、堺雅人好きなのです。

銀座でもやっているはずだし、映画館、行くだけ行ってみようかと、有楽町マリオンに行って見ると
ちょうど予告編が始まったばかりの時間。
「まだ入場可」の案内に、「今日見ちゃうか!?」と急いでチケットを買いました。

『武士の家計簿』は、安心してしみじみと見られる映画でした。
藩内の横領事件も、家計のピンチも、幕末という激動の時代も、
「そろばん侍」というアイデンティティも、もっと大きく取り上げてドラマにすることも
できるはだけれど、どれも大げさにせず、淡々と描いていくところが好もしい。
堺さんを始め、出てくる役者さんがみんないい味を出してるし。

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歌舞伎が朝の11時からで、映画を見終わったのが18時すぎ。
休憩があったけど、6時間くらいはずっと集中して見ていたので、さすがに疲れた・・
でも、よいものを見たという充実感で心地よい。

また、歌舞伎、見に行こうっと。
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by simo_kuri | 2010-12-20 00:40 | 見る