京都の最終日の朝は、『三十三間堂』から。
正式名称は『蓮華王院本堂』。天台宗の仏堂です。
堂内の柱間が33あるので、『三十三間堂』。
中央に千手観音坐像が安置され、その左右に、1000体の千手観音立像、
風神・雷神像、二十八部衆立像がところ狭しと並びます。
細長いお堂にずらっと仏さまが並んでいるのは、壮観。
千手観音立像は、同じように見えて、全部少しずつ違う。
これは、この後の予定がなければ、半日位かけてじっくり見るのがよいかもしれない。
お堂の裏側(西側)の縁側では、その昔、南端から北端まで120メートルの距離を弓で射通す
「通し矢」という行事が行われていたそうです。

お堂の柱に矢が刺さってしまうこともよくあったようで、良く見ると矢でできた穴があいているし、
柱を守るために、南側に防護のための覆いがかけられています。
本堂は国宝指定されていますし、もう縁側で通し矢を行うことはありませんが、
本堂西側の特設射場で矢を射る「三十三間堂大的全国大会」というイベントは今も行われているようです。
次に向かったのは、『養源院』さん。
三十三間堂の向かいにある浄土真宗のお寺です。
秀吉の側室・淀が、父親である浅井長政の供養のために秀吉にお願いして作ったお寺。
その後、消失してしまいますが、徳川秀忠の正室になっていたお江の願いで、再興されています。
お茶々が作って、お江が再建した、とは何ともタイムリーなお寺。
でも、ここを訪れたのは、『江』の関連ではなく、俵屋宗達の杉戸絵が見たかったから。
伏見城の戦いで城を守り、自刃して果てた鳥居元忠とその家臣達の供養のために、描いた絵です。
しかし、さすが俵屋宗達、ただの絵ではない。
かなり奇抜な象や獅子が描かれています。
本物の写真は撮れなかったので、代わりに玄関に置いてあった石板。
ちなみに、鳥居元忠達の切腹した時の血の跡が残った廊下の床板を使った「血天井」も有名です。
いやー、供養のためとはいえ、生々しいわー。

お次は、『智積院』。真言宗智山派の総本山です。
総本山だけあって、かなり広くて立派なお寺さん。
この『智積院』さんには、長谷川等伯の障壁画が収蔵されてます。
これはその宝物庫の入り口。
何だか、古い体育倉庫みたいですが、ちゃんと自動ドア。
中に入ると、等伯とその息子久蔵、弟子たちの描いた豪華絢爛な桜図、楓図、松に梅図、など
が展示されています。
こんな作品があるとは知らなかったので、得した気分。
こちらは、講堂。
五色幕の鮮やかさに目を奪われました。
それほど珍しいわけでもないのに、夏の日差しの下に、風にはためいている様は惚れ惚れします。
五色幕って、こんなに美しかったのか。
大書院には、「利休好みの庭」が。
石組と植込みが交互に配置された作りは見事。

私が訪れた時には、他に拝観者もいなくて、ゆっくりと静かにお庭を眺めることができました。
ダイナミックな作りなのに、不思議と心が落ち着くお庭。
あぁ、このお庭、好きだなぁ。
お庭に面した客殿には、宝物庫にあった障壁画のレプリカが。

何とも艶やか。

基本的には、禅寺の方が好きなのですが、この『智積院』さんは、私好み。

お庭やお堂が美しいこともその理由ですが、ただの観光寺ではなく、修行僧の方が立ち働いて
いる姿が垣間見え、凛とした空気が流れていたから。

ちなみに、お盆が近いので金堂では法要が営まれていました。
そして、最後に、この旅行の3つ目の目的、『京都国立博物館』へ。
「百獣の楽園-美術にすむ動物たち-」と題して、動物が登場する作品を集めた特別展です。
今、京都の国立博物館は平常展示館を建て替え中で、特別展の時しか入ることができません。
改修が終わるのは、2013年度。
今年、東博のパスポート会員になって、京都の博物館にも無料で入れるのに、見たいと思う
特別展がなかなかなくて、残念に思っていたのです。
今回は、夏休みということもあってか、彫刻も絵画も工芸品も、とにかく動物なら何でもあり、の
楽しい企画。
これは、絶好のチャンス!
東博もそうだけど、京都も明治の建築らしい趣きがあって、眺めているだけで楽しい。
正面入り口の上にギリシャ神話みたいな、和洋折衷な雰囲気の彫刻。
あぁ、明治っぽいなぁ。

展示内容もバラエティに富んだ作品ばかりで、なんとも楽しい企画でした。
博物館を後にして、遅めのお昼ごはん。
七条大橋のたもと、鴨川沿いにある『Obyan Cafe』さんです。

窓際の席に座って、鴨川の流れを眺めながら、ランチをいただきました。
ランチのセットには、ドリンクとサラダをスープ付き。

メインはアツアツの石焼鍋に入ったタコライス。
はふはふしながら、チーズとたまごがとろーりのごはんを味わい、あぁ、京都も今日で終わりかぁ、
としみじみ。
朝から歩き通しだったので、お昼ごはんの後は、のんびり錦を眺めたり、お土産ものを物色しました。
もう何度も京都には来てるし、東京で買えるものもたくさんあるとわかっているのに、
やっぱり来るたびに、色々買ってしまうのだよね。
さて、最後は京都駅で『宝泉』さんに。
新幹線の出発待ちのひと時に、「京しぐれ」をいただきました。
ほんのりうす甘い寒天に、甘納豆。
口に入れるとほろっと崩れる寒天が舌に心地よい。
さすがだなぁ、宝泉。
新幹線の中、充実した旅行だったなぁ、と満足しながらも、
さて、次はいつ京都に来ようか、もう次の旅行プランをあれこれ考えながら京都を後にしました。